『SYNCHRONICITY』のイメージフォトグラフィを手がけた長谷良樹氏。雑誌・広告から自主作品の制作まで幅広く活動するフォトグラファーに、今回のイメージフォトグラフィ、そして『SYNCHRONICITY』について伺った。 イベントの断固たるコンセプトと写真のオリジナリティ。それぞれが、極力10に近づけなければいけない。
-- 最近の活動は?
この一ヶ月は岐阜県の恵那市で、来春完成予定の映画「ふるさとがえり」の撮影に立ち合っていて、それに連動したスチールの撮影をしていました。映画の中でスチールってイメージが湧き辛いと思うけれど、映画のポスターやパンフレットに使う劇中の写真、舞台裏の記録撮影等で必要とされるんです。初めだったので、貴重な経験となりました。
-- 今回撮影した『SYNCHRONICITY』のフライヤー写真のテーマは?
人をモチーフにするってことですね。前回のフライヤー写真でも『SYNCHRONICITY』では初めて「人」に着目して写真を撮ったんだけど、自分にとって『SYNCHRONICITY』のイメージは、「人」のイメージが強いので「人」なくしてはなかなか考えられないんです。なので、「人」がない写真っていうのは考えていなかった。ただ、その「人」の写し方っていうのは難しかったかな。
-- その難しさとは?
「人」を写す時はまず顔を写すことが多い訳じゃない?ただ、『SYNCHRONICITY』のイメージを前提に考えると、人ってものが前に出てき過ぎてしまって具体的になり過ぎちゃう。それは『SYNCHRONICITY』が求めているものとは違うので、そうならないように気を付けるんだけど、人って具体的なものだから、ある程度抽象化するっていう作業、そのさじ加減が難しい。

-- 今回はどういう風に仕上がりましたか?
自分にとっては、人、それに対して風景/環境という二極があって、タイミング、特定の場所、特定の人、それらが綺麗にマッチすると、一つのすごく綺麗なビジュアルになるという確信があるんです。フライヤーになった写真は、特に自分が持っていった”もの”があって、その”もの”と“人”とがあるテンションでコラボレーションしてくれた感じがしています。
そう、『SYNCHRONICITY』には、 イベントの断固たるコンセプトがあるから、それを絶対に傷つけられない。また同時に、写真もすごくオリジナリティを求められるから、そのコンセプトと自分のカラーのマッチング作業が難しい。でもそれはどちらかが0ではいけなくて、極力両方10に近づけなければいけない。
-- 今回のフライヤーに対してのこだわりは?
今回モデルになってくれたのは、ニューヨークのダンスカンパニーのダンサーなんだけど、彼は撮影の一週間前に知り合ったんです。で、その後、実際に撮影する前に、2、3回会ったんですよね。その人の身体とか雰囲気、何が一番フィットするのか、写真への伸び白があるのかチェックするために。その辺のチェックはすごくしたし、こだわってます。また、場所に関しても、以前からいつか使いたいと思ってた場所で撮影したんだけど、実際は天気等の諸条件で、その場所でも全くイメージしていないポイントで撮ったんです。それは当日のアドリブでもあるんだけど、それもこだわりですね。
-- 『SYNCHRONICITY』の魅力とは?
一体感だと思う。出演者が出ててすごく気持ち良さそう。会場もちょうど一体感が生み出せそうなキャパシティだし、それがハマった時はものすごい。シンクロニシティ!っていう一体感(笑)。そんな一体感が、このフェスティバルにはあります。
また、特徴として、未来志向なところがあると思います。『SYNCHRONICITY』という名前ももちろんそうだけど、出演者、オーディエンス、スタッフ等も自分が好きな音楽やものだけを主張するのではなくて、その場で一体何が生まれてくるのか、そういう期待感を意識してやってるんじゃないかと思います。名前や想いがそれを引っ張っていってる。そして、そういうアーティストや人が集まってる気がします。
僕にとっては、想像だにしなかったような展開や繋がりが実際に生まれています。それが色んなレベルであるんじゃないかな。もちろんその他のフェスやイベントでもそういうものはあると思うけれど、初めからそれを装置として仕掛けようとして、実際に起きている。そういうのっておこがましいと思うけれど、そんな気がします。 |
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一体感や未来志向が『SYNCHRONICITY』の魅力。初めからそれを装置として仕掛けようとして、実際に起きている。
-- 『SYNCHRONICITY』とは、長谷さんにとってどういうイベントですか?
自分にとっては、ただただ楽しい!(笑)。
『SYNCHRONICITY』は本当に何でもアリで、クリエイションがビンビンで多ジャンルなんだよね。出演者も本当にみんな素晴らしくてかっこいい。そういうかっこよさをまざまざと感じることができるし、僕は写真というツールを使って一員として関われるから、ものすごく近い距離で参加出来る。それは本当に自分にとってかけがえのないこと。フライヤーももちろんそうだし、『SYNCHRONICITY』を通して、写真で色んなクリエイションを発信していきたい。
また、携わっていて思うのは、例えば10組出て半分近くは知らないんだよね。そうすると、そこにすごい奇跡的な出会いがあるんです。意外と知らない人が凄かったりして、その意外性を分かりやすく発見させてくれる。 多ジャンルなものが繰り広げられるから、それに刺激されてアーティストもいいパフォーマンスをしていると思う。そういう場に居合わせることは、ラッキーだよね!多ジャンルだけど、不自然さがない。それが本当に素敵だと思う。
-- 今後『SYNCHRONICITY』でトライしたいことは?
自分がビビビってきた出演者とコラボレーションしたい。それはミュージシャンの写真をただ撮らせてもらうというものではなくて、自分の視点で写真を撮るということ。それは、普段のミュージシャンの顔や、プロモーションの一環として切り取るのではなくて、いままで誰も知らなかった何が生まれるのかというところからチャレンジして、写真に切り取ってみたい。そういう意欲が常にある。
---kikyu-について
素敵な人間性を持った人たちが集まっているチーム。だからこそ、常に質の高いクリエイティヴィティ、オリジナリティを追求する刺激のある空間を求めていきたい。また、-kikyu-の発信するクリエイティヴィティを、もっと上手く世の中に対して反映させていきたい。そういうブレーンをもっと欲しいと思うし、いつも求めてるかな。我こそはと思った方、連絡下さい(笑)。
-- 写真を撮るときのこだわりは?
当たり前のことなんだけど、場所選び、人選、天気、環境のセレクション、そして、それらの色んな組み合わせがあると思うんだけど、自分が理想とする条件のための準備がとても大切。人を撮るときも一緒。自分の作品に関しては、人も本当に撮りたい人を撮る。
-- 音楽と写真の関わりについて
共通する面で言えば、両方とも理屈で動いてないってことかな。自分にも何が好きか分からない面って多々あって、綺麗なものとか、いいと思うものを人って頭で決めがちだと思うんだよね。決めがちなんだけど、実はそれって、本当に突き詰めていくと、全然理屈で動いていないと思う。説明不能な部分って音楽にすごくあるんだけど、写真にもそういう説明不能な部分がすごくある。それが魅力であるし、説得力であるし、今の時代にも必要なものだと思う。
-- 長谷さんにとって写真とは?
楽しさとか、安心感のようなものを、逆のコンセプトで表現することができるもの。例えば、ちょっと怖いものを見せて安心させたり、ちょっと汚れているものを見せて美しさを感じさせたりとか。
そういうアプローチは自分にとって得意なものでもあるし、自分にとっての写真だと思う。
-- 今後トライしたいことは?
活動的なことになるけれど、世界中のいろんな人達に自分の写真を見せていきたい。僕の写真がどういう風な反応をされるのか見てみたい。
-- メッセージ
写真に興味を持ってくれた人がいたら、気軽に声をかけて下さい!当日、-kikyu-のブースででも呼んでくれたら、行きますので!

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