INTERVIEW

downy、第六作品集『(無題)』青木ロビン インタビュー(後編)。僕はdownyの音楽がそのときの空気を変えれる音楽でありたいなって思う。

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9年ぶりにリリースされた前作から3年。downyが待望の新作・第六作品集『(無題)』をリリースする。今作はライブを再開して初のアルバムとも言え、そういう意味でもまた特別な作品だろう。

 

新作を聴くと、今までのdownyサウンドを存分に響かせながらも、新しい音楽が聞こえてくる。それは、downy第二期(活動再開後)の現在進行形の音だろう。

 

『After Hours』のミーティングでいつも顔を合わせている青木ロビン。ともにフェスを作り上げる同志としての距離感で、今作と今の等身大のdownyの姿をロングインタビューで紐解く。今回はその第二弾。

 

前編はこちら:
downy、第六作品集『(無題)』青木ロビン インタビュー(前編)。今作と今の等身大のdownyの姿をロングインタビューで紐解く。

 

インタビュー・テキスト・編集:麻生潤

 


 

最高に良いものを作りたいし妥協ができない。でもそれに応えるように何度でもみんな演奏してくれる。それ以前でも最高のプレイなんだけど、もっとここでっていうものにも応えてくれる。それがdownyなんだよね。

 

麻生:

downyってどの曲も本当に作り込まれていて一曲一曲に隙がない。アルバムにはちょっと手を抜いた曲というか、とりあえず入れておこうっていう曲もあったりするじゃないですか。でもdownyのアルバムにはそれがない。僕はそれって相当大変なことだと思うんだけど、デモの段階からどれくらい実際の曲になるものなんですか?

 

青木:

割とすごいボツったの。今回もって感じなんだけどね。だけど僕らはいつも凄いものを作ろうって目指してるし、もっとできるって思ってる。

 

ボツになる曲も色んなアプローチをして組み上げてるから、かなりの曲になってる。もったいない曲も一杯あるんだけど、僕らはその時のベストアルバムを作ってる気持ちなんだよね。レコーディングをするとdownyはどうしても長くかかってしまうから、一年前と今では「その時のベスト」ってものも変わってくる。そういうdownyなりのバランス感覚があるんだよね。

 

麻生:

ボツになっていく曲は段々皆が触れなくなって、最後まで残ったのが曲になるんですね。何だかその感覚、日本人っぽい笑。

 

青木:

自分もそうだし、段々皆も選んでいってるところはあると思う。すごく頑張って弾いてボツになるものもあるけれど、そういうのは誰も文句言わないしね。最高に良いものを作りたいし妥協ができない。でもそれに応えるように何度でもみんな演奏してくれる。それ以前でも最高のプレイなんだけど、もっとここでっていうものにも応えてくれる。それがdownyなんだよね。

 

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photo by YUKA OCHIAI(LIVE at SYNCHRONICITY’15)

 

 

僕はdownyの音楽がそのときの空気を変えれる音楽でありたいなって思うんだよね。再生ボタンを押したら、違う世界に持ってかれちゃうってくらいの。

 

麻生:

ロビンさんはカフェ経営(jiji cafe)、内装デザインやアパレルまで様々なことをやってます。身体を崩したりかなり酷使してると思うけれど、あまり大変そうに見せないのがすごいって思う。そういう忙しい日常や経験から曲作りのインスピレーションを得ることはある?

 

青木:

自分はそういうものが全く反映されないからヤバいと思う!笑。いい意味でね!そういうスイッチを持てた気がするね。弾き語りは割と生活とかでてると思うから、downyがそうさせてるのかもしれないけどね。

 

例えば、沖縄の人のいないビーチとかで子どもたちと一緒にいて、ジャック・ジョンソンとか聴いたらやっぱり気持ちいいわけ。当たり前かもしれないけど、あ〜、みんなこうやって音楽聴いてるんだなって思う。一方、カフェも皆が気持ちよくご飯食べてくれたら嬉しいから、すごく考えてそのための選曲をするんだよね。でもそういうことがdownyでは全く反映されない。自分でも不思議に思うくらい全く別のスイッチが入ってしまうんだよね。

 

麻生:

それは本当に不思議ですね。僕は音楽は環境に影響されるものだと思うし、その土地なりの音楽ってあると思うんですよ。特に沖縄は気候的にも特色のある場所じゃないですか。キューバでもジャマイカでもアイルランドでもその環境らしい音楽ってあると思うんです。

 

青木:

それは本当に何だろうね。もちろん生活してるから色んな音が聞こえるし、波の音も聞こえるし、東京に来れば電車の音も人々の音も聞こえる。だから、その環境に影響されるっていうのは分かる。でも、自分の中にある大切な音楽の魂というのは外から触れられるものじゃなくて、全く違う世界がdownyの曲を作るときに自分の中にあって、もしかしたらそれは日本でも地球でもないのかもしれない。自分でも不思議だったんだけど、やっとそういう風にとらえられるようになった気がするね。

 

麻生:

それは本当に不思議に思います。downyが生まれる場所、気になりますね。

 

青木:

皆はdownyの音楽を聴くときに、どういう風に聴いてるんだろうね?僕はdownyの音楽がそのときの空気を変えれる音楽でありたいなって思うんだよね。再生ボタンを押したら、違う世界に持ってかれちゃうってくらいの。

 

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photo by 荒金大介(LIVE at SYNCHRONICITY’16 – After Hours -)

 

 

今回は歌で引っ張ってる展開とかもあるし、それこそ一発取りの歌も結構あって、個人的にはすごく歌に愛着を持ててるんだよね。

 

麻生:

そういう音楽だと思いますよ。僕はdownyの底知れない表現力に畏ろしさを感じるんです。ミュージシャンではないけれど、畏怖っていう感覚に近いですね。だから、「違う世界に持ってかれちゃうくらい」っていうのはdownyの音楽を聴くときの感覚に近くて、こういう音楽がどうやって生まれてくるんだろうって本当に不思議に思います。色々大変な部分があると思いますが、downyが今作の制作の過程で一番苦労したところは?

 

青木:

今回は歌をもっと主軸に置こうと決めて、なんていうか、僕らなりのブルージーでソウルフルな歌っていうのがテーマにあったんだよね。それは前作でも少しあったんだけど、今回はより明確だった。

 

エンジニアさんがせっかく歌いいんだからもっと出しなよって言ってくれたり、弾き語りするようになって、この3年でやっと歌と自分の声と向き合えたんだよね。で、この歳だしぼちぼちテクニック持ってるつもりだし、そういうのをバンバン出して行こうと思ったのが今作だったの。

 

ただそうすると、今までとdownyの中で音のバランスが変わってくる。今までボーカルの音量レベルって小さかったんだけど、随分大きくなったからやっぱり音同士が干渉するんだよね。温度とか前後関係が今までのミックスのときとちょっと違って、本当細かいやり取りなんだけど、エンジニアさんに何デシベルだけギターを上げてほしいとか、歌をほんの少し下げてほしいとか、そういうのがすごく時間がかかった。

 

最後にはエンジニアの三好さんから、鼻毛分しか上がってないけどどっち?みたいな。そういう単位になっちゃった笑。それをさらに鼻毛の半分ありますか?とか言ったりして。鼻毛の半分?!みたいなやり取りをしつこくやらせてもらったんだけど、それが凄く僕たちに取っては大切なことだったの。本当にそれで全然違った曲に聞こえるんだよね。兎に角メンバー全員そういうとこに細かいんです。もしかしたら、人に聴かせても分かってもらえないのかもしれないけれど、本当にそれだけで前後関係が変わってきてしまう。そういうやり取りをずっとやって、こだわり尽くしたんだよね。とにかくその細かい調整がとっても大変だった。

 

麻生:

確かにそんなバランス、特にボーカルには違いを感じました。それは今作を聴いて新鮮に思ったことの一つです。僕はロビンさんの独特の声、存在感のあるボーカルが好きなんですよね。また、感情が定まらないような揺らぎがあって、そういうのって本当にどこを探してもない魅力だと思う。

 

青木:

ありがとう。弾き語りをやって下さいって最近言われるようになって、そういうチャンスをもらえたのも良かったね。今までバンドのサウンドでカバーしてくれてたものが無くなる訳だから、ボーカリストとして向き合わなきゃ行けなくなったし、そういうのが本当にいいきっかけになった。

 

あとね、今回は歌は全て沖縄の自宅で録音したんだよね。子どもたちが出かけたのを見計らって、犬を奥の部屋に入れて、扇風機も消してって笑。もともとは恥ずかしくてさ、誰にも聴かれたくないくらいだったんだよね。そういうのも気を使わずにできてよかった。歌に対してきちんと向き合えたっていうか。

 

麻生:

不思議なもんですね。技術も確かだし、歌も素晴らしいし、全然そうは見えないですけどね。

 

青木:

やっと出せたっていうね。40歳手前になって笑。今回は歌で引っ張ってる展開とかもあるし、それこそ一発取りの歌も結構あって、個人的にはすごく歌に愛着を持ててるんだよね。ボーカルのエフェクターも今までより凄く少ないし、いつもあんまり練習しないんだけど、ちゃんと録りたいって気持ちがあったからめっちゃ練習した。それくらいの気持ちが今回はあったね。だから、今回はよりエモーショナルな気がする。楽器も歌も。すごくフィットした感じがする。

 

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photo by YUKA OCHIAI(LIVE at SYNCHRONICITY’15)

 

 

こんなに信頼し合ってるバンドなんだなっていうのを再発見できたのは良かった。

 

麻生:

downyが再始動して3年。こうして今作に取り組んでみて、改めて新しい発見や気付きってありますか?

 

青木:

こんなに信頼し合ってるバンドなんだなっていうのを再発見できたのは良かった。逆に信頼関係の上でしか成り立っていないっていうかね。それを明確に感じられるようになったのはすごく大きい。

 

麻生:

活動休止前は違う感覚だった?

 

青木:

信頼はもちろんあるんだけどさ、若かったからね笑。それは外に対してもそうなんだけどコミュニケーションの取り方が変わったというか。みんな本当にすごい真剣に聞いてくれるし、そういうのが実感として分かるんだよ。それって本当に素晴らしい。

 

例えば、裕さん、こんな感じのギターをこんな感じどうですか?って言ったら、もう絶対次の段階ではすげーって言うのが来るのが分かってるっていうか、もちろん彼の中で何個もボツにしてよしこれだって言うのを聞かせてくれてるのかもしれないんだけど、もう一回目で来た!っていうのを持ってくる。それはもう本当全員そうで。マッチョも上モノが変わると当たり前だけどベースを変えなきゃいけなくて何回でもトライしてくれて、常に最高のプレイで答えてくれる。すごくそれを再確認、再認識できた。本当にいいメンバーとバンドしてるなって思う。

 

麻生:

秋山さんとは、秋山さんのイベント「秋山会」でも一緒にやってますね。

 

青木:

うん、なんかそういうのをできるようになったのもいいことだよね。

 

マッチョは細々した作業をやってくれたり、裕さんはホームページの画を書いてくれたり、各々がバンドの表現のためにやってくれるっていうか、そういうのがすごくバンドに大切なこと。何て言うかね、とてもバランスが良くて本当にそんな信頼関係ってものを感じるんだよね。

 

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photo by 荒金大介(LIVE at SYNCHRONICITY’16 – After Hours -)

 

 

僕個人としては、リリース、ツアー、そして来年の『After Hours』っていうのはワンクールって捉えてる。

 

麻生:

素晴らしいですね。downyの歴史を想像すると僕も感慨深いです。ツアーの話も少し聞かせて下さい。アルバムリリースにともなうツアーが始まりますが、ライブはもちろん第六作品集が中心となってくると思うんですけど、今回のアルバムをどういう風に表現したいってイメージありますか?

 

青木:

そのままだやるんだと思うよ!笑。もうアルバムのまま。またこのままなんだってびっくりされる自信があるね!笑。CDのままだよって。でもやっぱりそれがdownyのいいところだと思うし、本当にライブでびっくりさせたい。

 

麻生:

あはは、それは確かにdownyならではですね!本当にCDのまま演奏できるから凄い!リリース、そしてツアーとありますが、downyとしての今後の展望は?

 

青木:

僕個人としては、リリース、ツアー、そして来年の『After Hours』っていうのはワンクールって捉えてる。だから、まずそこまで終えてみて次回を考えるって感じかな。再始動して3年経って、よりバンドらしくなったと思うから、そこからもう一歩どう踏み出すのか考えたい。

 

新作はもちろん作り続けていきたいし、戦っているバンドであり続けたい。もちろんずっとチャレンジャーでもあるし、チャレンジャーでありながらいつも先に行っていたい。たまに旧作に対して、ようやく時代が追いつきましたねみたいな言い方されることがあるんだけれど、俺はそれ全然褒められてる感じがしなくて、追いつけない方がいいと思ってるから。やっぱり誰も真似できない、コピーできないバンドでいたい。トリビュートなんて一生出せないみたいな笑。誰が演奏するんだよ、みたいなね。

 

麻生:

ツアーと来年の『After Hours』っていうのはワンクールって言ってましたが、『After Hours』に対してはどういうイメージを持ってますか?

 

青木:

『After Hours』は僕達にとってやっぱり大きな戦いだと思う。なーなーなフェスにしたくないし、なれ合いみたいな仲のいい人が集まってやるっていうものにもしたくない。自分たちの音をちゃんと出しているかっこいい人を取り上げて、それにきちんと人が来るっていうシンプルなことにチャレンジしたいんだよね。もう年期を重ねたバンド達が主催者としているんだから、今だからこそできる新しいことをやりたい。

 

フェスじゃなくて、もっと気軽にイベントって言い方でもいいよね。あそこのイベントに言ったら、何だかかっこいい音楽に必ず出会えるって言うようなものにしたいよね。『SYNCHRONICITY』もそうだよね。そんな中でも戦ってるバージョンをやりたいっていうか。熱いやつをやりたい。見た?見れなかった、悔しい!って言うような熱いやつ。また、バンド同士もまた触発され続けているようなイベントになったらいいなって思ってる。

 

何だかタイミングがね、『SYNCHRONICITY』に自分たちが出演して、今年『After Hours』がキックオフして、ツアーがあって、また来年の4月ってちょうどいいところにあるなって、だから、自分の中ではワンクールって思ってるんだよね。6枚目のdownyの動きの中でワンクールって。もちろんその後も続けていくんだけど、ひとつの区切りとしてちょうどいいなって思ってる。本当に楽しみだね。

 

 

第一弾はこちら:
downy、第六作品集『(無題)』青木ロビン インタビュー(前編)。今作と今の等身大のdownyの姿をロングインタビューで紐解く。

 

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第六作品集『(無題)』ジャケット

 

■ 商品概要
downy
第六作品集『無題』
2016.9.7 On Sale
PECF-1140
felicity cap-257
定価:¥2,600+税
全9曲収録

 

1. 凍る花
2. 檸檬
3. 海の静寂
4. 色彩は夜に降る
5. 親切な球体
6. 孤独旋回
7. 「   」
8. 乱反射
9. 翳す、雲

 

■ ツアー概要
<downy  2016  『無題』 TOUR>
2016年10月13日(木)  大阪Shangri-La
open/start :19:00/19:30 Adv 3780円(+drink)
info GREENS : 06-6882-1224

 

2016年10月14日(金)  名古屋JAMMIN'
open/start :19:00/19:30 Adv 3780円(+drink)
info ジェイルハウス: 052-936-6041

 

2016年10月16日(日)  渋谷WWW X
-WWW X  Opening Series-
open/start :17:30/18:30 Adv 3780円(+drink)
info VINTAGE ROCK tel : 03-3770-6900 (平日12:00~17:00)

 

ticket一般発売:2016年08月27日(土)
チケットぴあ / ローソン / e+(イープラス) / ZERO TICKET

 

total information :
VINTAGE ROCK tel : 03-3770-6900 (平日12:00~17:00)
www.vintage-rock.com

 

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downy:


2000年4月結成。

 

メンバーに映像担当が在籍するという、特異な形態をとる5人編成のロック・バンド。

 

音楽と映像をセッションにより同期、融合させたライブスタイルの先駆け的存在とされ、独創的、革新的な音響空間を創り上げ、視聴覚に訴えかけるライブを演出。ミュージックビデオの制作、プロデュースもメンバーが手掛け、世界最大級のデジタル・フィルム・フェスティバルRESFESTに於いても高い評価を得る。日本に於けるポストロックの走りともされている。

 

青木ロビンは、zezecoとしての活動に加え、映画音楽制作、ゲストボーカルとしての参加、THE NOVEMBERS等のアーティストへの楽曲提供、アレンジ、プロデュースも手掛ける。音楽以外にも、空間デザインや、アパレルデザイナー等、多岐にわたって活躍。

 

青木裕は、unkieとしても活動。他にMORRIE(DEAD END)ソロプロジェクト等様々なプロジェクトに参加。ギタリスト、プロデューサーの他、CDジャケットのアートワークなど、イラストレーターとしても幅広く活動している。

 

仲俣和宏は、fresh!、YakYakYakとしても活動。

 

秋山タカヒコは、fresh!、BUCK-TICKの櫻井敦司が中心となって結成したTHE MORTALのメンバーでもある。長澤知之、スキマスイッチ、清春、黒夢、小南泰葉、ナオト・インティライミ等、レコーディング、ライブに多数参加。

 

石榴は、JUNO REACTOR 、VIOLET UK、SUGIZO、カンヌMIDEMショウーケース、GoldenEggs他、多数の公演映像演出を手掛けたりと国内外で活動中。

 

2004年活動休止以来、メンバー各々の活動は更に多岐にわたり、現在もなお、国内外のアーティストからの支持も多く、注目度も高い。現在までに、5枚のオリジナルアルバム、第五作品集のremixアルバムをリリース。2016.9.7 第六作品集をリリース。

 

downy-web.com

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INTERVIEW

『SYNCHRONICITY’18』出演オーディション突破アーティスト特集:「弱虫倶楽部」インタビュー

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皆さんは、弱虫倶楽部というバンド名からどんなイメージを連想すだろうか?ごく控えめに言っても、それは決してポジティブなものではなだろう。しかし、彼らの音楽を一度耳にするとそんなイメージはいとも簡単に覆され、そこに全く新しい価値を提示してくれる。脆く繊細な歌声の先にある揺るぎのない信念と、混沌としたサウンドに埋もれることなく響くポップなサウンド。弱虫倶楽部というバンド名の由来から見えてくるバンドの核心を、Vocal.安島の言葉で語ってもらった

 

 

インタビュー・テキスト:中村圭汰
編集:麻生潤

Supported by 基本 CMYK

 

 

 

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— まずは出演決定おめでとうございます。多数の応募の中を勝ち抜いての出演となりますが、今の気持ちを率直に教えてください。

 

安島:

素直にとても嬉しいです。このバンドを結成して初めて勝ち取った結果なので。

 

— 結成僅か1年での出演決定はバンドの持つポテンシャルの高さを感じます。

 

安島:

そうですね。やっぱり俺達はすごいなあ、という気持ちでいっぱいです(笑)。調子に乗りたい気分です。

 

— 多数の応募があった中で激戦を勝ち抜いての出演。調子に乗ってもいいと思います(笑)。加えて今回はGladのトリでの出演ですね。

 

安島:

僕個人としても人生において、こうした勝敗のあるものを最後まで勝ち抜くことが出来たのは初めての事なので本当に嬉しく思っています。演奏するたびに手応えや成長を感じてきましたが、一つ目に見える結果として出演が決まったことはバンドとして大きな自信に繋がりました。

 

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— 今回のオーディションはどこで知ったんでしょう?

 

安島:

何かオーディションに応募したいと思っていた時に、Eggsのサイトで記事を見つけ応募しました。

 

— 元々『SYNCHRONICITY』は知っていましたか?

 

安島:

はい。かっこいい音楽をやっているアーティストが揃ったラインナップがとても好きです。

 

— ありがとうございます。ちなみに、今回も非常に豪華なラインナップでの開催となりますが、個人的に観てみたいアーティストは誰ですか?

 

安島:

そうですね。WONK、Tempalay、King Gnu、Ovall、DALLJUB STEP CLUB、Yasei Collective、SOIL&”PIMP”SESSIONS、bonobos、水曜日のカンパネラなど…。挙げればきりがないんですが…。

 

— 参加者としても十分に楽しんでもらえそうで良かったです。

 

安島:

そうですね。SYNCHRONICITYに出演するアーティストは、ジャンルは様々ですが、音楽的にとても洗練されているなぁと感じます。しかも、それでいてどのアーティストもきちんと独自のポップさを持っている。大衆的でありながらも、コアなリスナーやニッチな層からの支持もある印象です。そのラインナップに選んでもらえたのが本当に嬉しい。

 

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— フェスのオーディションはスキル面も判断材料の一つだとは思うんですが、それ以上に、フェスとアーティストの相性はとても重要な選考基準だと思っていて。安島さんの感じる「洗練された中にある独自のポップネス」みたいなものが弱虫倶楽部にもあって、それが今回の出演にも繋がっているような気がします。

 

安島:

弱虫倶楽部は沢山の音楽に影響を受けているのですが、そんな自分達の好きなものを大切に、且つ強烈なオリジナリティを持ち、それをポップに昇華する事が出来たらと思っています。弱虫倶楽部とシンクロ二シティのベクトルは遠からず、似ているように思います。

 

— 今話してもらったところと通ずる部分でもあるとは思うんですが、弱虫倶楽部が持つ「強烈なオリジナリティ」とはどんなものでしょうか?

 

安島:

そうですね。まず、弱虫倶楽部はバンドとして、前衛性、普遍性、そして独創性を持った音楽を打ち出したいと考えています。ユニークなサウンド、綺麗なメロディ、心に残る歌詞、面白い活動、常に新しい挑戦。普通の事かもしれませんがそうした事を大切にしたい。

 

ロックであり、ポップであり、アートであり、エンターテイメントであり、流行であり、伝統であり、それらの観点を軸に持ったバンドでありたいです。いつもどきどきするようなものを提案し、挑戦し続けていきたいと思います。

 

 

— バンドの軸というか、コンセプトみたいなものを明確に表現していますね。このバンドとしての軸はメンバー内で話しあう中で出来上がっていったんですか?

 

安島:

ある程度のコンセプトの様なものはありました。自分という存在を目一杯に使って、最大限かっこいい音楽、バンドを作りたい。そして、メンバー全員が思い描く、いい音楽、面白いバンド、そうしたものを追求していきたいと。ただ、結成時には盤石な態勢や見通しがあったわけではないので、とにかくまずバンドとして動き始めてみよう、という気持ちが大きかったです。

 

— 漠然としたイメージが、精力的に活動を行う中で少しずつバンドとしての軸となり、カラーとなっていったんですね。弱虫倶楽部というバンド名にはどういう意味があるんでしょうか?

 

安島:

バンド名はスティーブン・キングのホラー小説「IT」に登場する弱虫倶楽部からきています。物語の中で、少年少女が成長し、力を合わせて不良や怪物達と闘っていくんですが、そんな強い友情みたいなものに憧れがあって。不器用さや弱さはあれど、それらを肯定し前向きな表現に挑み続けたいという意味を込めてこのバンド名にしました。弱くても強い、最強の弱虫倶楽部を作りたいと思っています。

 

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— その話を聞くとバンドの印象が大きく違いますね。弱さと強さって対極ですが、そこはまさしく表裏一体というか。弱さを超えた先に弱虫倶楽部としての理想系があるような気がします。それでは最後、当日のライブに向けて一言お願いします!

 

安島:

ぶっちぎります!

 

 

弱虫倶楽部 プロフィール:
弱くて強い、最強の弱虫倶楽部を結成すべく集まった。2017年2月より活動開始。オルタナティブ、パンク、ニューウェーブ、エレクトロニカ、ヒップホップなどの音楽をルーツとした五人組ロックバンド。アナログな電子音と緻密に練り込まれたバンドアンサンブル。ソングライター安島裕輔の詩と声が、終わらないロックンロール物語を紡ぐ。

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